トップページ

地域福祉の推進方法

ソーシャルワーカーバッチ

このページの目次になります。


■ 地域福祉の推進方法

地域福祉を推進すると社会福祉法にも規定されていますが、皆さん、地域福祉を実現するためには、どのような条件が必要なのか。また、そのような条件を整備するためにどのような方策があるのか。このように問われたら、どのように答えますか?
この点については、厚生労働省により、2008年、平成20年3月に公表された「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」があります。
厚生労働省がこの報告書を出した、いや、出さざるを得なかったのは、行政だけがいくら頑張っても、地域社会を取り巻く環境の変化から出てくる多様化・複雑化した福祉ニーズには到底応えられないということを、漸く厚生労働省も自覚したからです。
この報告書の副題は、「地域における『新たな支え合い』を求めて 住民と行政の協議による新しい福祉」になります。
この報告書においては、地域福祉を実現するためには、どのような条件が必要なのか。また、そのような条件を整備するためにどのような方策があるのか、について、詳細な報告がなされています。今回は、これを見ていきます。

この報告書では、地域福祉を実現するために必要な6つの条件に触れています。
これは是非頭に叩き入れてください。
1.住民主体を確保する条件があること
2.地域の生活課題発見のための方策があること
3.適切な圏域を単位としていること
4.地域福祉を推進するための環境>
5.核となる人材
6.市町村の役割

報告書は、このような1から6の条件に触れていて、この6つの条件を満たすことが、地域福祉を実現することなんだと言っています。
それでは、個別に確認していきます。

1.住民主体を確保する条件があること

「住民の地域福祉活動が活発に行われている地域をみると、住民自ら地域の活動計画を策定し、それを市町村地域福祉計画に反映する取り組みが進められている。」
これを住民主体と言います。
「住民は地域活動を担うと同時に、地域の生活課題をよく知る者としてそれらを集約し、活動の中で得た自分たちの考えを市町村の福祉に関する決定に反映させることによって、活動をさらに発展させている。」

確かに、ある地域に住んでいる人(構成員)であっても、全ての人が地域福祉に関心を持っているわけではありません。多数の人は、福祉は自分とは遠い話であると思っています。自分が福祉について何かしようとか、福祉は大事だなあと考える人は少ないと思います。
このような人達をして、誰もが幸せに暮らせるような地域を作っていこうとする地域福祉の主体者にどのようになってもらうか? 一つの方法として、調査活動、小地域福祉活動、福祉教育、地域福祉計画の策定過程への参加(計画を作るときは、何回も策定委員会やワーキンググループの会議などがあるので、そこに参加しながら、地域に存在する課題などを話し合う)をすること等によって、徐々に、自分たちが主体者として、どうやって課題を解決していこかという意識が作られていきます。このようなことの積み重ねが、主体形成ということに繋がっていきます。

住民主体を確保するために、市町村に求められることとして、
「市町村は、地域福祉を進めるためには、市町村行政の施策の形成や地域福祉計画の策定に当たって、地域における福祉活動に参加する住民の意思を反映させるような仕組みを整備する必要がある。 そして、住民が参画し、適切な判断をするためには、社会サービスについての情報や、市町村行政についての情報を得ていることが必要である。地域福祉活動を行う住民に対し、市町村などから福祉に関する必要な情報を提供するための仕組みの整備も必要である。」

2.地域の生活課題発見のための方策があること

まずは、地域の生活課題が見えにくくなっているとの指摘をしています。ましてや、地域福祉の推認のためには、昔のように、行政等の窓口で相談や申請を待っているというようなやり方では、地域福祉の推進はまったく回っていかないわけです。

「地域福祉で取り組む課題には、自力で問題解決に向かえない状態にある人(ひきこもりの方、消費者被害に遭っても自覚がない認知症の一人暮らし高齢者など)の問題など、そもそも地域であっても見えにくいものも多く、これらの課題、つまり潜在的な課題をどのように見つけるかが重要である。さらに、発見したニーズを再び潜在化させないため、解決すべき課題としてとらえ、共有し、解決に向かう仕組みがあることも重要である。」

「地域の住民活動をみると、生活の中で近隣の様子の変化に気づくといったことのほかにも、サロンや趣味のサークルなどの活動を通して、それまでみえていなかったニーズを見つけ出している。これらは、できるだけ多くの様々な人々を呼び込めるよう、囲碁・将棋や合唱など、福祉に限らない多様な活動が実施されており、参加者の生活課題を発見する仕組みとなっているとともに、参加者を通じて他の生活課題のある人の情報を得る仕組みとしても働いている。」

このようなことは、専門職ではできないことです。住民同士で時間をかけて関わっているからこそ分かることなど、インフォーマルセクターならではの強みになります。専門職は決してインフォーマルセクターを軽んじたりするのではなく、共に地域を作る同志として、尊重して関わっていくという姿勢が必要になります。

「このような住民の活動がさらに進めば、住民と行政・専門家とが情報交換ができる場にもつながっていく。
生活課題を抱えたときに、自ら問題解決に向かえない状態にある人々は、地域からも孤立しやすく、地域であってもみえにくい。それらは、住民による地域福祉活動のほか、コミュニティソーシャルワーカーや民生委員等による幅広なアウトリーチ(援助者が直接地域に出向いていく援助のこと)による訪問活動、市町村による調査などで発見される場合もある。」

3.適切な圏域を単位としていること

地域の生活課題の発見には小さな圏域の単位で動いていく必要があると言っています。
報告書では、「地域福祉活動では、地域に生活する住民にしかみえない生活課題や、身近でなければ早期発見しにくい課題に取り組むことになる。したがって、地域福祉の活動は自ずとそのような課題がみえるような、小さな圏域を単位として行われることになる。地域の生活課題を発見するためには、いわばお互いに顔のみえる環境づくりが必要であり、それができるような圏域が自ずと地域福祉活動の圏域となる。」
この図(重層的な圏域設定のイメージ)を見てください。

重層的な圏域設定


「住民の地域福祉活動が活発に行われている地域をみると、市町村の中で重層的に圏域が設定され、例えば、
(1) 班、組といわれるような近隣の単位で見守り等の活動

(2) それよりも大きな圏域である自治会・町内会の単位でサロン活動や防犯・防災活動

町内会や自治会と聞くと呼び名が違うため、何か違う団体なのかと思われがちですが、実は両者とも同じ団体のことを指しています。
地方自治法では、町内会を「地縁による団体」と規定しています(260条の2第1項)。要するに、自治会・町内会は、市町村内の一定の区域の住民によって組織される団体になります。住民同士の交流や相互扶助などを目的として活動しています。
そして、その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとしています(260条の2第2項3号)。よって、町内会は、個人単位で加入することとされています。ただ、一般的には、加入単位は、個人ではなく、世帯でやっているようです。なお、加入・脱退は自由に行なえます。
また、町内会は、法人格の取得や収益事業の実施も可能となっています。

(3) さらに大きな圏域である校区で、地域福祉に関わる者の情報交換や連携の場(プラットフォーム)の設定、住民の地域福祉活動に対する専門家による支援、地域福祉計画の作成や市町村地域福祉計画作成への参画

(4) さらに市町村の支所の圏域、そして市町村全域と圏域が広がるにつれて、より専門的な支援や公的な福祉サービスの提供、広域的な企画、調整
といった活動が行われている例がみられる。そして、最も身近な圏域で発見された地域の生活課題が、より広い圏域で共有化され、対応の検討を通して新たな活動の開発につながっている。
なお、ここに挙げた考え方は単に一つの例であって、圏域設定の考え方は一つではなく、都市部であるか、農村部であるかによっても異なり、また、自治会・町内会の単位がより具体的な活動を行う圏域となる場合もある。

以上、住民の地域福祉活動の圏域として市町村内の圏域について論じてきたが、問題領域によっては市町村レベルで対応できない事例も考えられる。例えば、難病の例などのように、市町村レベルでは対象者の数が少なく、また、高い専門性が求められることから、いわゆる二次医療圏や都道府県単位での対応が必要な場合である。」

4.地域福祉を推進するための環境

地域の生活課題の解決のための環境にはどのようなものが考えられるか。 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」では、情報の共有、活動の拠点、地域福祉のコーディネーター、活動資金が挙げられています。それでは、個別に確認していきます。

(情報の共有)
報告書では、「地域で発見された生活課題を解決につなげていくためには、関係者間で情報が共有されることが重要である。
地域福祉活動が活発に行われている地域をみると、地域福祉の圏域の各段階で、地域福祉に関わる者のネットワークが形成され、地域の生活課題の情報が共有されている。身近なレベルの圏域においては、地域の要支援者を支えるため、隣人・友人やボランティア、民生委員などによる情報共有が行われ、専門的対応が必要な事例については、より広域的な圏域でのネットワークで共有され、公的な福祉サービスにつなぐことが行われている。
このような情報共有を行うネットワークは、地域福祉のコーディネーターによって形成が促進されることが期待される。」

(活動の拠点)
報告書では、「住民による地域福祉活動が積極的にその活動を続けていくためには、拠点となる場所が不可欠である。これにより、
・ 住民が気軽に集まることができるようになり情報共有や協議が進む
・ サロンや会食会などの具体的な活動に着手しやすい
・ 連絡先をPRできることにより相談が受けやすくなり、住民と関係機関などの関係者間の連携が進む
ことになる。
すでに活動している事例をみると、公民館、自治会館、空き店舗、空き家、廃校となった建物や余裕教室等の学校施設、あるいは個人宅など様々な形態があるが、拠点の要件として重要なことは、いつでも立ち寄れて連絡がとれることであり、電話や机などの物品が整備された常設の場所であること、いつでも誰かがいるということである。
また、福祉施設には空間があり、職員がおり専門性もある。福祉施設が地域の拠点として住民に活用されていくことは、開かれた施設づくりの点からも積極的に取り組まれるべきである。」

(地域福祉のコーディネーター)
報告書では、「住民の地域福祉活動は住民同士の支え合いであるが、時には困難にぶつかることや、住民では対応できない困難で複雑な事例にぶつかることもある。また、住民の地域福祉活動がうまく進むよう、住民間や住民と様々な関係者とのネットワークづくり、地域の福祉課題を解決するための資源の開発を進める必要もある。
したがって、住民の地域福祉活動を支援するため、一定の圏域に、専門的なコーディネーターが必要である。このコーディネーターは、
(1) 専門的な対応が必要な問題を抱えた者に対し、問題解決のため関係する様々な専門家や事業者、ボランティア等との連携を図り、総合的かつ包括的に支援する。また、自ら解決することのできない問題については適切な専門家等につなぐ
(2) 住民の地域福祉活動で発見された生活課題の共有化、社会資源の調整や新たな活動の開発、地域福祉活動に関わる者によるネットワーク形成を図るなど、地域福祉活動を促進する
などの活動を実施することが求められる。」

ここで、ソーシャルサポートネットワークにも触れておきます。
そもそもソーシャルサポートというものは、さまざまな人間関係を通じた、生活するうえでの必要な支援を言います。そして、このソーシャルサポートには、インフォーマルなものとフォーマルなものがありますが、この双方のサポートを有機的につなぎ、ネットワークを形成していくことを、ソーシャルサポートネットワークと呼んでいます。
ここにいうインフォーマルサポートには何があるかと言いますと、家族や友人、近隣住民といった自然発生的なものと、ボランティアやセルフヘルプグループといった意図的に形成されたものがあります。
また、フォーマルサポートとは、専門機関によるサービスなど、制度に基づいて提供される支援を指します。
そして、「地域福祉のあり方研究会報告書」では、専門的なコーディネーターが、支援を提供できる人々が協議できる場を設けることで、インフォーマルサポートとフォーマルサポートによる支援を受けやすくすることが求められます。

それから、報告書では、「地域福祉のコーディネーターは、住民の地域福祉活動を推進するための基盤の一つであることから、市町村がその基盤の確保を支援することが期待される。」ということが言われています。

地域福祉のコーディネーターは、市町村がその確保を支援することが期待されています。通常、地域福祉のコーディネーターは、社協に配置されることが多いようです。皆さんもご存知のCSWのことです。

(活動資金)
報告書では、「住民が地域福祉活動を行うに当たっては活動資金が必要である。現在、行われている地域福祉活動をみてみると、共同募金の配分金や社会福祉協議会の会費からの交付金・補助金(共同募金と社協会費の一中学校区あたりの収入は合わせて約340万円)、個人や企業からの寄付金などが当てられている。
住民の地域福祉活動は、住民同士の支え合いであることから、その資金は住民自ら負担するか、自ら集めることが原則である。そこで、必要な資金を継続的に確保するために、資金を地域で集めることができる仕組みが必要である。
また、活動を維持するために不可欠な、拠点や事務局を維持するための運営費への寄付は、寄付する側の理解が得にくいとの指摘がある。活動財源として、事業費だけでなく運営費への寄付についても積極的に募り、人々の理解を進めることが必要である。」

以上、地域福祉を推進するための環境を見てきましたが、情報、拠点、人材、資金等は、地域における社会資源になります。
ここにいう社会資源とは、人がニーズを充足するうえで必要となる物やサービス、人材などの総称になります。
この社会資源にも種類があって、大別すると、制度に基づくフォーマルな資源と制度によらないインフォーマルな資源があります。
インフォーマルな資源として、地域住民も含まれますが、サービスを利用する住民も社会資源に含まれます。というのは、これまで支援の「受け手」であった人が「支え手」に回るような、参加の場や就労の場を地域に見出していくことが、地域共生社会というものだからです。

フォーマルな社会資源である専門職が、インフォーマルな社会資源である住民の活動に関わる際の留意点に触れておきます。
住民が、専門職に依存したり、専門職に遠慮する可能性があります。ですので、専門職は、住民の主体性を尊重する形で活動に関わる姿勢が必要になります。
また、地域住民だからできることもあります。例えば、サロンでの交流を通じて、サロンに参加している住民の生活課題を発見するとか、参加者を通じて他の生活課題のある人の情報を得るとか、長時間交流をしているからこそ分かることがあります。こういうインフォーマルセクターならではの強みについては、専門職として尊重して関わっていく必要があります。専門職は、インフォーマルセクターを軽んじたりするのではなく、共に地域を作る同志として、尊重して関わっていくという姿勢が必要になります。

この社会資源を援助に利用するには、3つの方法があります。
@既存の社会資源を活用する。
A援助に際して有効に機能する社会資源を調整する。
これは、地域の中にすでにある社会資源を他のことに有効活用するような方法です。
例えば、高齢者を中心とする買い物難民を支援するため、医療機関への通院バスなどを利用して、その空き時間帯に、買い物難民をスーパーまで送迎する事業を企画するとかになります。
B地域に存在しない社会資源を新たに開発する。
例えば、買い物難民を支援するため、ふれあい・いきいきサロンにおいて、隣町の業者や農協等の協力を得て、朝市の開催をするとかになります。これは、簡単にできそうですね。しかも、大変喜ばれそうですよね。

Bの地域に存在しない社会資源を新たに開発する手法の一つとして、ソーシャル・アクションがあります。
ソーシャルアクションとは、利用者や地域住民等の課題の克服とニーズ充足のために、社会参加の促進や、制度・サービスの創出、改善等を目指して行う組織的な活動を指します。
この行動には、数が物を言ってきますので、福祉専門職だけではなく、多数の住民の主体的な関わりが不可欠です。
ソーシャルアクションにおいて、福祉専門職に求められる役割は、主に2つあります。
1つは、ニーズ発信が弱い当事者について代弁機能を果たす役割、もう1つは、当事者主体を基盤に、当事者のニーズを実現するために社会資源を組織化する役割です。

社会福祉施設(特に入所施設)も社会資源になります。
施設については、1970年代より前には、隔離的な施設が多かったわけですが、その見直しとして、施設の社会化という取り組みがなされています。
要するに、障害者や高齢者を対象とした社会福祉施設が地域社会から隔絶された存在にならないようにする取り組みの総称です。
具体的には、施設の入所者と地域社会との交流の促進(例えば、入所者の外出やボランティアの受け入れなど)や施設機能を地域に解放し、地域住民に対するサービスの提供などの取り組みがなされています。

5.核となる人材

報告書では、「住民による地域福祉活動が安定し、継続的であるためには、活動の核となる人材が必要である。
活動の核となる人材は、PTAや青少年団体など、福祉に限らず他の様々な活動を通してノウハウを身に付け、社会貢献に意欲をもつ人々の中にみいだしていくことが必要である。特に、将来的に活動を担う人材として、子育て家庭等の若い世代に積極的に働きかけ、早い時期から地域福祉活動との関わりをつくるなど人材の育成に取り組むことも重要である。さらには、将来地域を支えることになる子どもたちや中・高校生、大学生などに対しては、学校や地域におけるボランティア体験などを通じて、地域福祉への関心を高めることも考えられる。
市町村においては住民を福祉委員として委嘱し、地域の見守り活動への参加を求めるなどの取り組みがあるが、担い手を発掘する上では、地域のために何かしたいと考えて自ら参加する住民のほかに、このような、依頼されて一定期間役員として活動する人々の中から、資質のある人を見つけ出していく方法もある。
また、働き盛り世代や団塊の世代の参加を進めるためには、働きながら、地域でも活動できるような仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が実現できるような環境整備が求められます。また、住民活動は、上司・部下の縦の関係を基本とする会社組織と異なり、水平な関係が基本であり、それを理解して活動に入れるようオリエンテーションを実施するなど、団塊の世代が地域で活動できるようになるための支援も望まれる。
近年広がってきているコミュニティビジネス(地域の人材やノウハウ、施設、資金などの資源をいかしながら、地域課題の解決に「ビジネス」の手法で取り組むこと)も、これまで企業で働いてきた人々の地域活動への入り口として有効であり、支援が望まれる。」

6.市町村の役割

(総合的なコミュニティ施策の必要性)
報告書では、「地域福祉活動を進めるに当たっては、従来の福祉の枠にとらわれず、地域の多様な生活課題に取り組むことになる。したがって、このような課題に対応するためには、防災や防犯、教育や文化、スポーツ、就労、公共交通やまちづくり、建築など、幅広い視点で取り組む必要がある。住民の地域福祉活動を促進するためには、市町村の側でも、地域で発見された生活課題全般を受け止める総合的なコミュニティ施策が必要である。」

(公的な福祉サービス提供と地域福祉活動の基盤整備)
報告書では、「狭義の福祉分野においても、近年の福祉制度の改革により、住民への福祉サービスの提供については市町村中心主義が確立し、また、介護保険制度では保険者として運営に責任を負うようになるなど、市町村の役割は一層高まっている。
住民が地域で尊厳をもって生活を営めるようにするためには、公的な福祉サービスが必要とする住民にあまねく提供されるとともに、「地域における新たな支え合い(共助)」としての地域福祉活動、市場により提供されるサービスがあいまって、全体として住民の生活課題に応えていくことが必要である。
したがって、市町村は、制度的に位置づけられた、公的な福祉サービスが適切に提供されるよう責任を有すると同時に、住民の福祉に責任を負っている主体として、市町村全体をみて、地域福祉活動、市場による福祉サービスがあいまって、住民が地域で普通に暮らし続けることを可能にする責任も負っている。
住民の地域福祉活動に対しては、活動自体は住民の自発的な行為であるとしても、これらの活動が疲弊することなく、継続できるよう、活動の基盤を整備することは市町村の仕事である。
このような観点から市町村の役割を具体的に列挙すると、
地域福祉計画に住民の新たな支え合いを位置づける、
地域福祉計画の作成に当たって住民が参画する仕組みを作る、
地域福祉活動の内容にふさわしい圏域を設定する、
コーディネーターや拠点など住民の地域福祉活動に必要な環境を整備する、
といったことなどが挙げられよう。市町村はそのための財源を確保すべきであり、また、国においても、市町村が財源を確保できるよう支援が求められる。
地域における新たな支え合いは、あらかじめ対象や方法を限定せず、地域の多様な生活課題に対応するものである。したがって、公的な福祉サービスと住民により地域で発見された問題がつながるためには、市町村の側でも分野をあらかじめ限定せず、一元的に対応できるような仕組みが必要である。そのため、市町村は、地域内に一本化した窓口を設置したり、複数のサービスを組み合わせて一体的に提供するなど、「地域」の視点に基づく公的な福祉サービスの見直しや運用の弾力化を行うことが求められる。例えば、地域包括支援センターを地域福祉活動の拠点として活用し、住民が市町村に困難な事例を円滑につないでいる例がある。
国においても、市町村で柔軟な対応が可能となるよう、施策の設計や実施に当たっての配慮が求められる。
さらに、社会的排除の対象となりやすい者の問題や地域の少数者への対処についても、住民の意識の問題でもあることから、住民だけで対処することは困難であることも多く、そのような場合には行政による専門的な対応が必要とされる。また、低所得の者に対する必要な支援は、行政の基本的な役割である。」


地域福祉の推進方法(前編)をテーマとした講義動画です。
クリックしてご試聴ください。



地域福祉の推進方法(後編)をテーマとした講義動画です。
クリックしてご試聴ください。


参考ドラマ

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

サイレント・プア [ 深田恭子 ]
価格:10032円(税込、送料無料) (2022/5/20時点)





Tweet

inserted by FC2 system